廊下のない間取りで住まいをプランニングしていく方が近年増えているようです。その一番の魅力は、リビングやダイニングといった住空間をより広々とした開放的な部屋にしていくことができる点でしょう。しかし、単純に廊下をなくしてしまうと、実際に住んでみると不都合に感じることも出てくるでしょう。そこで今回は、そうした間取りを取り入れる上で押さえておきたいポイントについて見ていきたいと思います。
廊下のない間取りを取り入れることで、その分の空間が有効に使えることになりますが、ただ単に廊下部分の壁を取り除くようなプランでは、玄関とLDKの間に空白のように無駄なスペースが生まれてしまうため、しっかりと玄関とLDKの間の動線などを考えながら2つの距離感を上手く調節していくことがポイントとなります。廊下をなくした時に、そのスペースが通路としての役割だけでなく、その他にも有効活用されるようなプランニングを心掛けていくといいでしょう。
写真:ジャストの家
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廊下なしで家のプランニングを行っていく上で基本とも言えるポイントが、LDKの動線を上手く活用することだと思います。上で述べたように、廊下部分をそのまま空白のようにしていては、使い勝手の悪い無駄なスペースとなりがちです。そうならないためにも、玄関からの動線をLDKの動線の中に上手く組み込んでいくことが重要となります。リビングからキッチン、ダイニングへと向かう通路に、リビングから玄関へとつながる通路を組み合わせることで、無駄のない空間づくりをしていくことができるでしょう。
【動線の住まいについては、こちらの記事でも紹介しています】
廊下がある間取りの場合、トイレや浴室といったプライバシー性を保ちたい空間とリビングが壁できちんと隔てられることから、それらの部屋を比較的自由に配置していくことができます。それに対して廊下のない間取りの場合、そうした部屋の配置には十分に配慮していく必要があります。そのままプランニングをしていては、リビングとトイレ・浴室が面するようになり、トイレを出入りする場面がリビングから見えるだけでなく、水の音も聞こえてしまいます。しっかりとそうした部屋のプライバシー性が確保されるような間取りも心掛けていきましょう。
先程、廊下のスペースをLDKの通路と組み合わせて無駄な空間を生み出さないようにすることを述べましたが、その他にも、そうしたスペースの通路としての役割に加えて、他の役割を持たせることも考えてみるといいでしょう。玄関とLDKの間のスペースに本棚を設けたり、ギャラリーのようなスペースをつくってみてもいいでしょう。また、その空間でも過ごしやすいように、ちょっとした座れる場所をつくるなど快適性にも気を付けてみるといいと思います。
建物に対して玄関がどこにあるかで、家の中の移動の仕方も大きく異なります。玄関が建物の端に位置すれば、それぞれの部屋に行く距離も自然と長くなり、玄関が建物の中央に位置すれば、比較的移動距離も短くなるでしょう。そうしたことから、廊下のない間取りを取り入れる際には、通路スペースを小さくすることも大切になるので、家の中を移動する距離が短くなるような玄関の位置についても考えてみるといいでしょう。