モダンなインテリアは、流行りに関係なく時代を超越して愛されるスタイル。20世紀初頭に始まった元祖モダニズムでは、色彩も抑え気味なものが多くみられましたが、このシンプルな形を保持しつつ自然の素材を取り入れたものがナチュラルモダン。木の温かみがインテリアにナチュラルテイストを加えてくれて、柔らかな印象になります。今日は、そんなナチュラルモダンのインテリアの例をいくつかご紹介します。長く楽しめる家にするアイデア、見つけてみてください。
木を多用したナチュラルテイストの家って、とっても落ち着きます。こちらのお宅は大阪の建築家・arbolの手がけたもの。近隣に高層住宅や公園が密集した地域でありながら、敷地を取り囲む壁面と屋内空間との間に箱庭を作ることでプライバシーを守りながらも自然光をふんだんに取り入れることができる構造になっています。リビングに座ると、見渡す限り窓がめぐらされており、その奥に壁があるとはいえ、あたたかな木材の色合いと木々の緑が安らぎを与えてくれる優しいインテリアとなっています。
Photo: Yasunori Shimomura
打ちっぱなしのコンクリートやむき出しのダクトは、個性的でモダンな建築要素と言えますが、冷たい雰囲気にもなりがち。そこに、こちらのお宅のようにウッディテイストを用いることで、木のぬくもりをふんだんに感じられる空間が出来上がります。このリビングダイニングで特筆すべき点として挙げられるのが、使われている木材の色の多様性。濃いめの色の床材に、同系色のコーヒーテーブルや本棚、そして少し明るいトーンのダイニング家具と、ブラインドがそれぞれを干渉しすぎることなく絶妙に調和しており、とても居心地の良い空間になっていますね。
住宅密集地では、プライバシーの確保と暮らしやすさ、採光の確保が家を建てるときに重要なポイントとなります。こちらのお宅では、建物の側面に窓を多用するのではなく、トップライトをうまく利用する造りを採用。家の真ん中に白い螺旋階段が設置され、その上部が吹き抜けとなっています。無垢材と白い階段、トップライトが見事に相まって、明るく気持ちの良い空間となっています。吹き抜けと寝室の間には、小ぢんまりとした読書スペースが。室内でありながら、バルコニーに座っているかのような気分が味わえそうです。
Photo: momoko japan
天然素材を家に取り込むと、太古からDNAに刻みこまれた記憶ゆえなのか、ほっとくつろげる空間を作り出すことができます。こちらのリビングでは、外壁からの延長のように、屋内の一角に石造りの壁が。壁面の低い位置が四角く切り取られており、右側に薪が置かれていることから、暖炉として使われていることがわかります。石の壁は、表面が加工されていないため、ラフでマスキュリンな印象になりますね。クールなのに、どこか暖かいナチュラルさが感じられます。
リノベーション、と聞くと、ものすごく大がかりなものというイメージがあるかもしれません。確かに、その方法によっては建て替えに近いような作業になることもあります。こちらの物件は、リフォームにあたり、建物の構造上間取りを変えることができなかったということで、天井や壁に手を加えることで変化を作り出しています。例えば、床材は部屋ごとに変えてみたり、こちらのお部屋では、壁にも色合いの異なる木材を無造作に貼ったかのような表情豊かな壁を作り出してみたりしています。シンプルで、ナチュラルで楽しい空間になっています。
ナチュラルモダンを目指すためには、必ずしも天然素材を使わなければいけないということはありません。例えばこちらのバスルーム。シンプルな形に水の中を思わせるような淡いブルーを合わせています。自然界でよく目にするようなカラーリングを取り入れるだけでも、充分それっぽい印象にアレンジすることができますね。優しい色合いを選ぶと天然素材にもしっくりなじみます。
ナチュラルモダンな家についてはこちらの記事で紹介しています。